仕立てと仕上げについて
いよいよ東レの技術力が発揮される場面です。 特に東レシルックの素材では、縫製の技術力が非常に重要になります。
縫製工場(東レ指定工場)は全国に3ヵ所ありましたが、2009年より一ヶ所に集約して、効率を図っています。 そもそもは、東レが繊維全盛の頃(昭和30〜40年代)にナイロン、ポリエステルを開発し、 ポリエステルで着物を作った時代に遡ります。 その頃は、まだまだ着物業界も今の何十倍もの市場がありましたから、どうしても洗える着物が作りたいとの声がありました。
当時は洗える着物の仕立は町の仕立て屋さん(呉服店の専門手縫い職人)がほぼ100%近かったのです。 消費者は洗える着物地を購入しても仕立が手縫いの為、本当に丸洗いすると、 縮んだり、曲がったりといった苦情が多く寄せられ、東レとしても考えさえられていました。 そこで、縫製にも本腰を入れて、自社縫製工場での技術者の方々の力の結集と何年かの経験を積み重ねて、製品化されたのです。 当時の業界としては画期的な事でした。 その時代は、まだまだ着物の需要も多くあり、販売に成果が出てきました。
洗濯機で丸洗いをしても型が崩れない方法として、あまり説明できない部分ではありますが、 ミシンと仕上げのアイロンに特殊な技術があったのです。 消費者、特に業務用に着物を着用される方々は、何度洗っても型が崩れない、 その技術を見逃さず、特に都会の商売で着用されている方や旅館等で働く方々などに 洗える着物の良さが生きてきたのだと思われます。 そして、最近では特に業務用にもう一工夫と考えて、パイピン加工や居敷当、(袖付けの)力布等の 様々なアイデアを成功させて来ています。